耳がかゆいの治らない方へ

耳がかゆい原因と治療

耳がかゆいのって苦しいですよね。

しかも触りすぎて耳が痛くなって耳鼻咽喉科に行くと、

「これ耳の触りすぎだよ。触ったらダメだよ。」

って怒られるんですよね。

しかも耳鼻咽喉科に通院してもなかなか治らないし、治療やめたらすぐ悪くなる。

この苦しみは耳がかゆくなった人にしか理解出来ないと思います。

『実は私も耳がかゆいんです。』

 耳鼻科医なのに耳がかゆいんです。

なので、どうやったら耳のかゆみがなくなるのかかなり調べました。

まずは原因を紹介しますが、私が診察をしながら頭の中に思い描く順番に沿って記載をします。

耳がかゆくなる原因

1.耳の触りすぎ

圧倒的一番の原因はこの耳の触りすぎです。

耳がかゆい→さわる→すごくかゆい→もっとさわる→痛くなる→触らなくなる→治る

というのを繰り返します。

この現象は蚊に刺された時と似たようなもので、一度耳を触ってしまうとそこで炎症をおこしてしまい、どんどん耳がかゆくなるというものになります。

補聴器やイヤホンによる直接刺激も、触りすぎの一つになります。

もちろん「触るのを我慢してください」というのはあまりにも酷な話で、このかゆいのを何とかするのが耳鼻科の仕事になります。

2.耳垢

耳垢もかゆみの原因になります。

正確にいうと、耳垢があると耳の中がごそごそして気持ち悪くなり、触ってしまって炎症を起こすということにつながります。

耳の中にたくさん耳垢が溜まってしまった場合には、そこにバイ菌がついてしまい菌が繁殖して膿を作り、耳の中で炎症を起こし耳のかゆみがひどくなる、ということもあります。

赤ちゃんが耳を触る原因の一つでもあります。

耳垢の取り方は詳しくはまた別の機会に記載しますが、とにかく『耳の中は見えないところは触らない』と覚えておいてください。鼓膜損傷の原因になります。

3.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎が耳内でも起こってしまい、乾燥したカサカサした状態になってかゆみを起こしていることがあります。保湿剤とステロイド軟膏を必要とします。ステロイド軟膏は漫然と使用すると真菌症をおこす原因になるため、医師の定期的な診察を受けながら使用するようにしてください。

4.外耳道真菌症

耳の中が極端に臭くなり、白かったり黒かったりするカビをみると真菌症の診断となります。真菌症は長期間の湿った環境や、耳の触りすぎで皮膚が剥げてしまっているような方で多く見られます。また、アトピー性皮膚炎の項目に書いたように、ステロイド軟膏の使用しすぎでも起こります。

5.脂漏性皮膚炎

実は今日もっとも紹介したいのはこれなんです。というのも、耳鼻科のお医者さんは、耳のかゆみがある方に対し、この病気を想定して治療することは少ないんです。
脂漏性皮膚炎はマラセチア菌というお顔にいる常在菌なのですが、皮脂が多いとその部分で悪さをし出してしまいます。いわゆるお顔のTゾーンとかが皮脂が多い部分の代表ですが、耳の周りも皮脂が多い部位なんです。
(耳の後ろの匂い嗅ぐとくさいですよね。皮脂が多い場所だからです。)
皮脂が多い部分のマラセチア菌をやっつけるのに保険適応になっている薬で、
ケトコナゾールローション(商品名:ニゾラールローション)があります。
耳鼻科では取り扱いが少ないと思いますので、耳の中のかゆみが耳鼻科に行っても治まらないときには、皮膚科を受診して相談するとこれを処方していただけるかもしれません。
お恥ずかしい話、私自身も皮膚科を思い切って受診したら、この薬を勧められ、耳の中のかゆみで悩まなくてよくなりました。外来で処方しておりますが、非常に患者さんに効果がでて、感謝されます。

6.上咽頭炎、アレルギー性鼻炎

耳と鼻は耳管という管でつながっています。耳管の出入り口は、鼻の一番奥とのどの境目に存在します。なので、のどの入り口である上咽頭で炎症を起こしていたり、アレルギー性鼻炎を起こしていると耳のかゆみにつながることがあります。

耳のかゆみの治療

『耳のかゆみの原因』の項目で治療は記載しているのですが、実際私がどのような順番で治療計画をたてるかをここで記載します。

1.問診

当然ですね。いつから・どんな時に・どの程度・どれくらいの時間続くのかを聞きます。本当は耳が痛いのに『耳のかゆみ』として訴えられたり、実は変な薬を塗っていたりなど、問診を聞いただけで診察・検査・治療方針が変わったり決まったりする人もいます。

2.耳の診察

耳の周りをみて脂漏性皮膚炎や湿疹がないかを確認しながら耳の中を見ます。
耳垢が溜まっていたり、耳の中に傷がないか、また、カビがいないかどうか確認します。
耳垢が溜まっていれば除去します。しかし、やりすぎると耳の皮膚を剥いでしまい、余計にかゆみや痛みを起こすことがあるので慎重に行います。
患者さんが耳を触りすぎていると赤くはれていたり出血していることもあります。消毒を行い、ステロイド軟膏を塗布することがあります。
外耳道真菌症、いわゆるカビは皆さんも見たことがあるかもしれませんが、『白カビ』や『黒カビ』が耳の中に生えていることがあります。もしもカビが生えてしまった場合には、頻回に耳鼻科に通院し、すぐに生えてくるカビをこまめに除去し、抗真菌薬を塗布することになります。

3.鼻・のどの診察

耳の中を診察しても改善が見られない場合には、鼻咽腔ファイバーを用いて鼻の中をよく診察します。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がないかどうか、また、のどの一番入り口である上咽頭に炎症がないかどうか確認を行います。
アレルギー性鼻炎があれば抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬を処方し治療を行います。副鼻腔炎に対しては鼻洗浄やステロイド吸入を行います。
上咽頭炎に対しては、塩化亜鉛というものを上咽頭に擦過(ぬりつけ)します。ちょっと痛いです。これについては耳鼻科の先生たちから批判を受ける可能性もありますが、どうしても色々治療してもかゆみが取れない場合にはやってみています。意外と効果を発揮してくれますよ。

最後に、耳のかゆみは本当にきついです。お風呂上りに掃除のし過ぎで耳から黄色い汁が出てきたかと思ったら、痛みが出てきて、さらに放置すると出血して、ということがます。しかも皆さんは当然知りませんが、糖尿病などバイ菌に弱い体の人では、耳から脳に菌がいってしまい、髄膜炎を起こすようなこともあります。

耳のかゆみはあまり放置しすぎずに、耳鼻咽喉科か皮膚科を受診するようにしましょう。

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